現代文化学基礎演習2（2001年度：永井）

映像で見る占領期の日本

降伏調印式関係参考資料

最終更新：2001年9月22日

大本営派遣全権と随員の年譜（陸軍編）

年	梅津美治郎	宮崎周一	永井八津次	杉田一次
1882（明治15）	大分県で生まれる
1895（同28）		長野県で生まれる
1901（同34）			茨城県で生まれる
1903（同36）	陸軍士官学校卒業（15期）
1904（同37）	歩兵少尉(日露戦争へ出征）			奈良県で生まれる
1911（同44）	陸軍大学卒業（23期）
1913（大正2）	ドイツ駐在（軍事研究のため）
1915（同4）	デンマーク駐在(WW1の観戦･研究)
1916（同5）		陸軍士官学校卒業（28期）､歩兵少尉
1917（同6）	帰国
1919（同8）	スイス公使館館武官
1921（同10）	帰国		陸軍士官学校卒業（33期）､少尉
1923（同12）	陸軍省軍事課高級課員
1924（同13）	陸軍大佐・歩兵第3聯隊長
1925（同14）		陸軍大学入学		陸軍士官学校卒業（37期）、少尉
1926年（同15）	参謀本部編制動員課長
1927（昭和2）		陸軍大学卒業(12月、39期)
1928（同3）	陸軍省軍務局事課長(8月)
1929（同4）		参謀本部部員(戦史課)(2月)
1930（同5）	歩兵第1旅団長（8月）
1931（同6）	参謀本部総務部長(8月)		陸軍大学卒業(11月、43期）
1932（同7）		陸軍大学兵学教官(10月)		陸軍大学卒(11月、44期)
1933（同8）			軍務局課員(12月)
1934（同9）	支那駐屯軍司令官(3月)		中国駐在(6月)	参本部員(12月)
1934（同9）	陸軍中将(8月)
1935（同10）	第2師団長（8月）
1936（同11）	二・二六事件(2月)	二・二六事件	二・二六事件	二・二六事件
1936（同11）	陸軍次官(3月)		帰国(4月)
1937（同12）		欧州出張(7月)	軍務局課員(軍務課)(7月)	米駐在(1月)､米歩兵26連部隊(4月)
1937（同12）				米大使館付武官補佐官（10月)
1938（同13）	第1軍司令官(5月)	帰国(2月)、陸軍大佐（3月）		英駐在(9月)
1938（同13）		第11軍作戦課長（6月）
1939（同14）	ノモンハン事件		軍務局軍務課支那班長（2月）
1939（同14）	関東軍事司令官､満州国大使(9月)	歩兵第26聯隊長（10月）		参本部員(欧米課英米班長、4月)
1940（同15）	陸軍大将(8月)	陸大教官（10月）	軍務局軍務課高級課員（10月）	米出張(12月)
1941（同16）			欧州出張(3～4月)、陸軍大佐（3月）	帰国(4月)､第25軍情報参謀(11月)
1941（同16）			支那派遣軍参謀（第4課長）(6月)	シンガポール攻略
1942（同17）	関東軍総司令官(10月)	第17軍参謀長(10月)（ソロモン方面）		大本営参謀(4月)､第17軍参謀(8月)
1942（同17）				第8方面軍参謀(11月)（ソロモン・ニューギニア方面）
1943（同18）		参謀本部第4部長(4月)	参謀本部謀略課長(7月)	参本部員(5月)
1943（同18）		陸軍大学校幹事(8月)	大本営第4班長（情勢判断・宣伝謀略、11月）	参謀本部欧米課長（10月）
1944（同19）	参謀総長(7月)	第6方面軍参謀長､陸軍中将(8月)（華中）		陸軍大佐(3月)
1944（同19）		参謀本部第1部長(12月)		大本営参謀(作戦班長)(4月)
1945（同20）			軍務課長(2月)､少将(3月)	第17方面軍高級参謀(7月)（朝鮮方面）
			火傷入院(5～8月)､東部軍附(8月)	軍務局付(8月)
	ミズーリ号降伏調印式(9月2日)全権	ミズーリ号降伏調印式陸軍随員	ミズーリ号降伏調印式陸軍随員	ミズーリ号降伏調印式陸軍随員
	軍事参議官（10月）	参謀本部残務整理部長	予備役(12月)	首相秘書官(9月)､
	予備（11月）	予備（12月）	第1復員局資料課長（12月)	予備(11月)
1946（同21）	Ａ級戦犯指令(4月)	厚生事務官(復員省史実調査部長)(4月)		単鴨拘留(7月)
1948（同23）	終身禁固(11月)
1948（同23）	キリスト教洗礼(12月)
1949（同24）	逝去(1月)
1952（同27）				警察予備隊入隊
1969（同44）		夫婦でキリスト教洗礼､逝去（10月）
1972（同45）			逝去(8月)	陸上自衛隊を定年退官
1993（平成5）				逝去（4月）

大本営派遣全権と随員の年譜（海軍編）

年	富岡定俊	横山一郎	柴勝男
1897（明治30）	長野県で生まれる
1897（明治30）	父は海軍中将で男爵の富岡定恭
1900（同33）		横須賀市で生まれる
1901（同34）			千葉で生まれる
1917（大正6）	海軍兵学校卒業（45期）
1918（同7）	海軍少尉
1919（同8）		海軍兵学校卒業（47期）
1920（同9）		海軍少尉
1922（同11）			海軍兵学校卒業（50期）
1923（同12）			海軍少尉
1927（昭和2）	海軍大学卒業（27期）
1928（同3）		海軍大学卒業（28期）
1930（同5）	仏駐在(国際連盟海軍代表部)（1月）
1931（同6）		米駐在(エール大学)(5月）
1932（同7）	帰国（10月）	米国大使館付武官補佐官（5月）	海軍大学卒業（32期）
1933（同8）		帰国（11月）
1935（同10）			独駐在（4月）
1935（同10）			駐独大使館付武官補佐官（12月）
1936（同11）	海軍省人事局第1課員（12月）
1937（同12）			帰国（7月）､海軍大学教官（11月）
1938（同13）	海軍大佐（11月）、第2艦隊参謀（12月）
1939（同14）	海軍大学教官（11月）	第2遣支艦隊参謀（12月）	海軍省軍務局員（第1課、5月）
1940（同15）	軍令部作戦課長（10月）	駐米大使館付武官（9月）、海軍大佐（11月）	軍務局員（第2課、11月）
1942(同17）		帰国（8月）､球磨艦長（11月）
1943（同18）	大淀艦長（1月）	海軍省主席副官（10月）	海軍大佐（5月）
	南東方面艦隊参謀副長（9月）（ソロモン・ミューギニア方面）
	海軍少将（11月）
1944（同19）	南東方面艦隊参謀長（4月）		大井艦長（2月）
1944（同19）	軍令部第1部長（12月）		軍令部第1部長直属部員兼参本部員（8月）
1945（同20）		海軍少将､軍令部出仕（5月）	大本営戦力補給部員（1月）
		マニラでの会合出席（8月）
	ミズーリ号降伏調印式随員（9月2日）	ミズーリ号降伏調印式随員	ミズーリ号降伏調印式随員
	第2復員省大臣官房史実部長（12月）	第2復員省連絡部長（6月～23年1月）
1950（同25）		GHQ命令により退職
1970（同45）	逝去（12月）		逝去（1月）

人物メモ

梅津美冶郎

参謀総長　陸軍大将　（1882明治15．1．4－1949昭和24．1．8）
・日本陸軍最後の参謀総長
・日露戦争に従軍し､勲章を受ける。
・デンマーク駐在中にＷＷIが起こり､現地で生の作戦・情報を研究、また、ヨーロッパ風合理的精神を身につけた。
・陸軍大学を主席で卒業し､エリートコースを進んでいた。
・昭和11年の二・二六事件の際には、仙台の第2師団長。いち早く「叛乱軍は断乎討伐すべし」との意向を表明し､同年3月にこの事件の善後処置の実質的責任者である陸軍次官として中央に復帰した。
・昭和天皇の信望が厚かった。
（昭和14年8月の平沼内閣総辞職の際､組閣の命を受けた阿部信行大将に､天皇は陸軍大臣を梅津か畑俊六の中から選ぶように指示した）
・昭和14年5月のノモンハン事件の直後､ソ連との関係を正常化し、関東軍を立て直すために関東軍司令官に就任（当時､関東軍司令官は現役陸軍大将中の最古参者を送り込むのが例であったが､この時梅津はまだ中将であった）。
・昭和19年7月の参謀総長就任の内命
（経緯･･･日本の戦状が不利になってくるに従い､東條内閣打倒の動きに進展､首相兼陸相で参謀総長であった東条は陸海軍両統帥部長を専任とした。東条陸軍大臣は後任参謀総長として後宮淳参謀次長を内奏したが､天皇が後宮の後任に不安の意を示したので、2日後東条は内奏を変更して、梅津関東軍総司令官を総長に内奏した。異例の措置であった。
　対して梅津は･･･対米英戦争に初めから反対であり､日本の状況はすでに立て直し不可能なところに来ているため、参謀総長としてなす術もないのだから何とかして辞任できないだろうか、と当時の関東軍参謀副長に相談している）
・降伏調印式
　（はじめ、梅津は調印式に行くことを拒否、強いての命令ならば自殺すると言っていたが､天皇の言葉を受け、結局出席することになった）
・戦後：極東国際軍事裁判でA級戦犯として起訴され、無期懲役の判決を受けた。

杉田一次

大本営陸軍参謀　陸軍大佐（1904明治37．3．31－1993平成5．4．12）
・アメリカ滞在歴が長いため､マニラ使節団の一行に加えられたが、ソウルから東京への飛行機が不時着しため､マニラ行きに間に合わなかった
・昭和20年8月30日､厚木に飛来したマッカーサーに、アメリカ駐在時代の友人を通じて梅津と会談させ、日本（軍）の現状を伝えようとしたが､かなわなかった。しかし、9月1日サザーランド参謀長に宮崎周一､富岡定俊､杉田は面会することができた。このような経緯があってか､杉田は降伏調印式の全権団の随員として梅津参謀総長の随員を命じられ､参列した。
・降伏調印式の模様を記した回想あり。

（作成：友田如美）

参考資料

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』東京大学出版会<

福川秀樹編『日本陸海軍人名辞典』芙蓉書房

梅津美冶郎刊行会編『最後の参謀総長　梅津美冶郎』芙蓉書房